こどもえんにち・謎解きクエスト(準備・裏話編)

2022年12月8日木曜日

①お知らせ ⑥祭り・文化 ⑦子ども

 子育連が11月6日に行った両行事は、約1ヶ月前から具体的準備に入りました。



丁目や学年にとらわれず仲の良いグループでの参加を募集。

各チームに渡す予算の管理者として1名以上の保護者をお願いしましたが、出店内容はチームに一任しました。

そのため内容が被っているお店も出ましたけれども、子どもたちのモチベーションを優先させました。



準備の場所や日時もチームに任せたので当日になるまでどのような露店が出てくるか子育連役員も良く知らない状況でした。



写真を見た感じでは中学生のお姉さんも手伝ってるかもしれないですね。試し撃ちをしたり看板を描いたりしてる表情は真剣そのものです。



当日の綿菓子も、経験がある中学生女子が担当者として店頭にいてくれたので、大人の出る幕がないほどでした。

他の露店も小学生が困っていると中3のお姉さんたちがテキパキと解決。

その姿を見た小学生の保護者からは

『すてきー』

『うちの子もあんな風になれるかなぁ』

と感心や憧れが入り雑じった声が上がっていました。




謎解きクエスト。

こちらも1ヶ月ほど前に最初の中学生会議を開きました。

高校入試前でもあることから、集まってくれたのは中2男子3名。

大人側としては、露店会場付近の木にお菓子をぶら下げて、小学生に集めさせる程度の遊びを想定していました。




まず、会場が危険ではないか?

次にどのような遊びをやるかを検討していきました。

 

志賀島の名所を廻る志賀クエストに参加した子がいて、そんな感じでやってはどうかと。

公園内に名所は無いから、謎カードを探して廻る脱出ゲームみたいにしたい。

危なくないように見守りが必要。

あまりテーマを決めず、シティマラソンみたいに色んなキャラクターがいた方がお祭り感が出る。




謎カードの隠し場所はいくつ?

6ヵ所くらい?

と投げ掛けると

『いや、6だと小学生にはキツい。4個で良いと思います』

との意見が。

物足りなくないか?

と思いましたが、中学生の意見を尊重することにしました。

結果的にこれが正鵠を射ておりまして、当日、この会議を思い出し独り感嘆いたしました。




1週間後、現地を見に行くことに。

しかし彼らは既に自分達で見て廻っており

『あそこは高台なのでロープで塞いだ方が良いです』

『夕方になると森の奥は暗くなるので時間を早めに設定してください』

驚くほどしっかり現場を確認してきてくれてました。

 

どうやったら盛り上がるか?

話しながら公民館へ向かっていると

『音楽は要ると思います』

真っ直ぐな目でそう言われました。



大人になれば、余計なことを言うと役目を押し付けられるから、狡賢く様子を伺うようになる。

夕陽に照らされた中学生の目は、こんなにキラキラした物があるのだろうかと思うほど澄んでいました。

 

このような眼差しで云われたら、電源どうするんだとか言えません。

『そうだね!ありがとう!』

後を考えるのは大人の仕事です。

納涼祭での機材を使い、iPadからSpotifyを鳴らす。

HV車から1500wの電源を引き、PAと綿菓子機を賄うことにしました。



そのあと2週間あけて、仲間を誘ったり、ナゾナゾを考える時間に充てました。

中学校にボランティア募集のチラシやQRコードを置かせてもらったりしましたが人数が増えません。

恐らく3人も仲間を増やすのに四苦八苦していたんだと思います。



そして行事まで1週間となり、衣装合わせの会議。

そこには今まで顔を出したことのない1年生や、イベント好きな2年生が来てくれました。

 

恥ずかしがって

『こんなん着らんす』

なんて斜に構えてる1年もいれば

『うおぉぉ!!めっちゃ着てぇ!!』

『まじゴリラ!』

と盛り上がってる2年も居ます。

これは成功する、そう確信が持てた瞬間でした。



英検や志賀島のお祭りと被っていて参加できないかもという子もいました。

けれど当日には用事を済ませ、何人も昼過ぎに駆け付けてくれました。



中学男子は170cmを超えている子もいますし、思春期なので無愛想にも見えます。

小学生の保護者は少し警戒していました。

ですが露店でもクエストでも、小さな子の手を引いてくれたり、優しいお兄ちゃんばかり。

そのギャップにお母さんたちや中学女子がキュンキュンしてましたね。



着ぐるみ衣装を手作りしたのは中3女子。

小振りなペットボトルを軸に紙粘土を盛り付け、お面が重たくならない工夫をしています。



彼女はこのボランティアや美術部での活動で、自己アピール、それプラス英国数3教科で高校受験をするそうです。

準備だけでなく、当日はキイロレンジャーの仮装で会場BGMのコントロールも担当してくれました。



中学生の成長の為に取り組んだボランティア活動ですが、思わぬ所からも反響がありました。

彼らのお父さんお母さんたちです。




自治会などで繋がりがある父兄も多かったので、こんな風に頑張ってくれたよ、とお伝えしましたら

『中学生になって家では会話も減ってしまい、親からは何を考えてるのか判らなくなっていた』

『そんな風に振る舞えるよう育ってるんだ』

『そんな意見を云うんだ、家では何にも興味を示さないから』

『中学になってなんか変わっちゃったなと不安だったけど安心した』

『俺、子どものこと何も解ってなかったっす』

そんな声を沢山いただきました。



地域の分断、家庭内での分断、個に分断されていく社会。

利便性や快適性を求めた結果、背景がなくなり、子どもや家族の輪郭さえ見失いがちなのかもしれません。



今回も協力してくれた中学生には、自治協議会からボランティア証明書を発行します。

受験時の自己PRに写真など必要であれば個人情報に配慮した範囲で提供いたします。

子育連関係者や公民館へ御相談ください。

 

余談ですが、逃走中やスポーツビュッフェに協力いただいた高校生の父兄から、

『ボランティア証明書の発行できますか?』

と問い合わせがありました。

もちろん発行いたしました。

東区に住んでる方なら誰でも知っている進学校の生徒さんです。

大学受験で使いたいのでと。

恐らく高校と打合せをされる中で、有効だという話になったのだと思われます。

 

進学や就職などで求められる要素が様変わりしています。

特技や資格を持っています!だけでなく、それをどのようにコミュニティで活かしてきたのかが問われるようです。



今回は大人がギチギチに練り上げていくのを敢えて止めてみました。

2回目の中学生会議から本番までの3週間。

やろうと思えば人員集めや役割分担を詰めていくことも出来ました。

 

何も決まらないまま時間だけが過ぎていくのは大人にとっても不安です。

けれど、それをやってしまっては子どもの達成感や自己肯定感に繋がらない。

前日まで何人あつまるか確定しない状況でしたが、

ここで

大丈夫なの?』

『どこまでやってるの?』

『なぞなぞ決まったの?』

と急かしてしまえば、

家で

『宿題やったの?』

なんて子どもを詰めるのと同じになってしまいます。

 

先回りして役割分担をするより、上手くいかなかった場合に代わって頭を下げる。

それが大人の役目だと、腹を括っていました。

 

『これ集める色を決めておかないと、2つのチームが同じ色を集めたら成り立たなくない?』

それに気付いたのも3日前。

スタート地点が判らないからと、中3女子たちが段ボールでゲートを作ったのも当日になってからでした。

 

けどそれで良いのです。

彼らが自分で気付いて、自分達で組み立てていく。

出来上がった物を使うだけの消費者ではなく、世の中に価値を産み出していく存在として育っていって欲しい。

そのように願っています。